転職活動を終えて内定を受け取ると、労働条件通知書や雇用契約書が届きます。うれしい一方で、「月給は求人票と同じに見えるけれど、固定残業代が含まれている」「配属先は東京と聞いていたのに、勤務地の変更範囲が全国になっている」など、確認すべき点の多さに戸惑う方もいるでしょう。
特に、在職中の20代・30代は、退職交渉や引き継ぎと並行して内定承諾を判断しなければなりません。「細かく質問すると印象が悪くなるのでは」と不安になり、内容を十分に確認しないまま承諾してしまうケースもあります。
結論からいえば、労働条件通知書は月給の合計額だけでなく、求人票・面接時の説明と照合しながら、給与の内訳、勤務時間、勤務地と仕事内容の変更範囲、試用期間などを確認することが重要です。分からない点を承諾前に質問することは、入社後の認識違いを防ぐための確認であり、失礼な行為ではありません。
この記事では、内定後に確認すべき内容を15項目に整理し、求人票と条件が違う場合の対応や、採用担当者へ送れる質問メールの例文まで解説します。
最初に確認:この記事の15項目には、法律上明示が求められる事項だけでなく、転職者が実務上確認しておきたい事項も含まれます。会社や雇用形態によって記載方法は異なるため、空欄があるだけで直ちに問題だと決めつけず、就業規則や別紙を含めて確認してください。
この記事の内容
労働条件通知書とは?雇用契約書・内定通知書との違い
労働条件通知書は、会社が労働者へ、契約期間、就業場所、仕事内容、勤務時間、賃金、退職などの労働条件を明示するための書類です。労働基準法では、使用者は労働契約の締結に際して労働条件を明示しなければならないと定められています。
厚生労働省は、契約期間、就業場所と業務、勤務時間、賃金、退職など一定の事項について、原則として書面で明示するよう案内しています。労働者が希望した場合は、出力して書面を作成できるFAXや電子メールなどでの明示も可能です。詳しい明示事項は、厚生労働省「採用時に明示すべき労働条件」で確認できます。
ただし、転職時に受け取る書類の名称は会社ごとに異なります。「採用条件通知書」「オファーレター」「雇入通知書」といった名称でも、必要な労働条件が記載されていることがあります。反対に、「内定通知書」と書かれていても、採用決定の連絡だけで詳しい条件が載っていない場合があります。名称よりも、必要な条件が具体的に書かれているかを見ることが大切です。
| 書類・情報 | 主な役割 | 確認時の注意点 |
|---|---|---|
| 求人票・求人広告 | 募集時点の職種や条件を示す | 最終的な個別条件と同じとは限らないため、通知書と照合する |
| 内定通知書 | 採用する意向や内定の事実を伝える | 給与や勤務地などが十分に書かれていないことがある |
| 労働条件通知書 | 会社が労働条件を明示する | 別紙や就業規則を参照する記載があれば、その資料も確認する |
| 雇用契約書 | 会社と本人が合意した契約内容を記録する | 通常は双方が署名・記名する。通知書を兼ねる形式もある |
| 就業規則・賃金規程 | 従業員に共通する勤務・賃金・休職などのルールを定める | 通知書に「就業規則による」とある項目の詳細を確認する |
「雇用契約書がないから直ちに無効」「労働条件通知書に署名欄がないから不十分」とは限りません。労働条件通知書は会社からの明示、雇用契約書は双方の合意を記録するという役割の違いがあります。1枚にまとめた兼用書式もあるため、複数の書類を一式として確認しましょう。
労働条件通知書を確認する前にそろえる3つのもの
通知書だけを読んでも、選考中の説明から何が変わったのかは分かりません。まず、次の3つを手元にそろえます。
- 応募時の求人票・求人広告:掲載終了に備えて、PDFや画面保存を残します。
- 面接・条件面談の記録:給与、配属、働き方について説明された内容と日付を整理します。
- 企業や転職エージェントからのメール:口頭説明を補足した回答や、提示年収の内訳を確認します。
次に、通知書の各項目へ「一致」「変更あり」「不明・空欄」の印を付けます。変更箇所があっても、選考中のすり合わせを反映した合理的な変更で、本人も納得しているなら問題にならない場合があります。重要なのは、条件が違うこと自体を見落とさず、理由と最終条件を承諾前に明確にすることです。
おすすめの進め方:疑問点は電話だけで終わらせず、メールなど記録に残る方法で回答をもらいましょう。説明によって条件が修正された場合は、修正版の労働条件通知書や雇用契約書を発行できるか確認します。
労働条件通知書のチェックポイント|内定後に確認すべき15項目
内定承諾前に確認したい15項目を一覧にしました。すべての会社が同じ順番・名称で記載するわけではありません。別紙、就業規則、賃金規程に分かれている場合もあります。
| 項目 | 確認する内容 | 曖昧な場合の質問 |
|---|---|---|
| 1.契約する会社・雇用形態 | 会社の正式名称、直接雇用か、正社員・契約社員などの区分 | 求人を出した会社と雇用主が違う理由は何か |
| 2.契約期間 | 期間の定めの有無、有期なら開始日と終了日 | 「正社員」と聞いていたが期間があるのはなぜか |
| 3.入社日 | 入社日、初出勤日、入社日前後の研修や手続き | 現職の退職日と無理なく接続できるか |
| 4.試用期間 | 期間、延長の有無、給与・休暇・福利厚生の違い | 本採用後と異なる条件はどれか |
| 5.更新の有無・判断基準・上限 | 有期契約の更新可能性、判断基準、更新回数や通算期間の上限 | 更新判断はいつ、何を基準に行うか |
| 6.雇入れ直後の勤務地 | 本社・支店・顧客先・自宅など、入社時に働く場所 | 配属先が未定なら、いつ決まるか |
| 7.勤務地の変更範囲 | 転勤・異動・出向の対象地域、リモート勤務の扱い | 「会社の定める場所」の具体的な範囲と過去の実績はどうか |
| 8.雇入れ直後の仕事内容 | 職種、所属、役割、管理職扱いの有無 | 求人票の職種と担当業務は一致するか |
| 9.仕事内容の変更範囲 | 将来担当する可能性がある職種・業務の範囲 | 職種限定採用か、職種をまたぐ異動があるか |
| 10.勤務時間・労働時間制度 | 始業・終業、所定労働時間、フレックス・変形労働時間制など | 自分に適用される勤務パターンと精算期間は何か |
| 11.休憩・休日・休暇 | 休憩時間、固定休日かシフトか、年間休日、有給・特別休暇 | 会社カレンダーと入社初年度の休暇付与日はどうなるか |
| 12.時間外・休日・深夜労働 | 残業の有無、休日出勤、代休・振替、実績の集計範囲 | 配属予定部署の直近の残業実績はどの程度か |
| 13.賃金の内訳・支払方法 | 基本給、手当、控除、締日・支払日、欠勤控除、交通費 | 毎月固定で支払われる金額はいくらか |
| 14.固定残業代・賞与・昇給・退職金 | 固定残業の時間と金額、超過分、賞与の算定、昇給、退職金 | 想定年収のうち、業績や評価で変動する金額はいくらか |
| 15.退職・解雇 | 自己都合退職の手続き、定年、解雇事由、休職規定の参照先 | 詳細が就業規則にある場合、どこで確認できるか |
厚生労働省のモデル様式には、契約期間、更新、就業場所と業務の変更範囲、勤務時間、休日・休暇、賃金、退職などの記入欄があります。自分の書類に何が足りないか迷ったら、厚生労働省のモデル労働条件通知書と見比べる方法もあります。
給与・固定残業代は「月給の総額」だけで判断しない
転職後の生活へ直接影響するのが給与です。しかし、「月給30万円」「想定年収450万円」という合計だけでは、毎月確実に受け取れる金額や残業代の扱いは分かりません。少なくとも、次のように分解して確認します。
- 基本給
- 役職手当・職務手当・資格手当などの固定手当
- 固定残業代
- 通勤手当など実費や条件に応じて変わる手当
- 賞与やインセンティブなど評価・業績で変わる金額
基本給と月給は同じとは限らない
たとえば「月給30万円」が、基本給24万円と固定残業代6万円で構成されている場合、基本給は30万円ではありません。賞与や退職金、各種手当の算定基礎が基本給と連動する会社では、月給の内訳が将来の受取額にも影響することがあります。
| 提示内容の例 | 確認できること | 追加で確認すること |
|---|---|---|
| 基本給24万円 | 通常の労働時間に対する賃金の中心 | 欠勤控除、賞与・退職金の算定基礎 |
| 固定残業代6万円・30時間分 | 金額と対応する時間 | 30時間を超えた分の支払い、深夜・休日労働を含むか |
| 想定年収420万円 | 会社が示す年収の目安 | 月給12か月分以外の60万円は保証額か、賞与・業績給か |
この例では、月給30万円の12か月分である360万円と、残りの60万円を分けて考えます。残りが「昨年度実績をもとにした賞与」であれば、必ず受け取れるとは限りません。初年度は賞与算定期間が短く、満額にならないこともあります。提示年収を見るときは、固定部分と変動部分、初年度と2年目以降を分けて確認しましょう。
なお、額面給与と手取り額は同じではありません。税金や社会保険料は本人の状況などで変わるため、労働条件通知書の金額だけから手取りを断定することはできません。
固定残業代は3点をセットで確認する
固定残業代がある場合は、手当の名称にかかわらず、次の3点を確認します。
- 固定残業代を除いた基本給はいくらか
- 何時間分に対して、いくら支給されるか
- 設定時間を超えた分は追加で支払われるか
厚生労働省の資料でも、固定残業代を採用する求人について、基本給、対象時間と金額、超過分を追加支給する旨を分けて示す記載例が紹介されています。詳しくは、厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合」を確認してください。
「営業手当6万円」のように、固定残業代に当たるのか分からない記載は確認が必要です。また、固定残業30時間分と書かれていても、毎月30時間の残業を命じられることや、30時間までは残業時間を管理しなくてよいことを意味しません。実際の残業時間は、配属予定部署・職種・繁忙期を分けて質問します。
昇給・賞与・退職金は「あり」だけでは判断できない
「賞与あり」「昇給あり」は、支給額や毎年の実施を保証する表現とは限りません。次の点を確認すると、入社後の期待との差を減らせます。
- 賞与は固定額か、基本給連動か、評価・業績連動か
- 初年度も算定対象になるか、在籍要件があるか
- 昇給の時期、評価期間、対象者
- 退職金制度の有無、対象になる勤続年数、企業型確定拠出年金などとの関係
制度の細部が通知書に載っていない場合は、賃金規程や退職金規程の該当箇所を確認できるか尋ねましょう。
勤務時間・残業・休日は「制度」と「実態」を分けて確認する
通知書に記載されるのは契約上の勤務条件です。一方、平均残業時間や有給休暇の取りやすさは、部署や時期によって変わる実態情報です。どちらか一方だけで判断せず、制度と実態を分けて確認します。
始業・終業時刻と労働時間制度
「9時から18時」と書かれていても、休憩1時間なら所定労働時間は通常8時間です。フレックスタイム制、変形労働時間制、裁量労働制、シフト制などが適用される場合は、名称だけでなく、自分の働き方がどう変わるかまで確認してください。
- フレックスタイム制:コアタイムの有無、フレキシブルタイム、清算期間、標準となる1日の労働時間
- 変形労働時間制:対象期間、勤務日ごとの時間、シフトの通知時期
- 裁量労働制:自分の職種が対象か、みなし労働時間、健康・福祉確保措置など
- シフト制:希望休の出し方、夜勤の回数、勤務間隔、シフト確定日
制度名が書かれているだけで、自分に適用される条件が分からない場合は、就業規則や労使協定などのどの規定に基づくのかを確認します。
「残業あり」は平均時間と集計条件を確認する
求人票の「月平均残業10時間」は、あなたの配属予定部署の直近実績とは限りません。全社平均なのか、職種別なのか、管理職を含むのか、何か月分を集計した数字なのかで意味が変わります。
残業時間を質問するときは、「多いですか」と聞くよりも、「配属予定の営業企画部について、直近1年間の月平均と繁忙月の目安を教えてください」のように、対象と期間を明確にすると具体的な回答を得やすくなります。
休日出勤がある職場では、頻度だけでなく、振替休日・代休の運用、割増賃金の扱い、実際に休みを取得する時期も確認します。
年間休日と有給休暇を混ぜない
年間休日は一般に、会社カレンダー上の所定休日を表します。有給休暇は本人が要件を満たして取得する休暇であり、年間休日とは別に扱われるのが通常です。ただし、企業の表現だけで判断せず、次の内容を確認してください。
- 完全週休2日制か、週休2日制か
- 祝日、年末年始、夏季休暇が年間休日に含まれるか
- 土曜出勤や会社指定出勤日があるか
- 有給休暇の付与日と初年度の付与日数
- 慶弔、病気、育児・介護などの休暇が有給か無給か
年間休日数だけで働きやすさを断定することはできません。シフトの予測可能性や連休の取り方も、自分の生活に合うかを判断する材料です。
勤務地・仕事内容は「最初」と「将来の変更範囲」を確認する
2024年4月以降、労働契約の締結時と有期労働契約の更新時には、雇入れ直後の就業場所・業務に加えて、それぞれの「変更の範囲」の明示が必要になりました。変更の範囲とは、その契約期間中に、配置転換などによって変わる可能性がある場所・業務の範囲です。制度の内容は、厚生労働省「労働条件明示のルール改正」で確認できます。
勤務地は転勤・出向・客先常駐まで確認する
雇入れ直後が「東京本社」でも、変更の範囲が「会社の定める事業所」となっていれば、将来の勤務地は東京に限られない可能性があります。この記載だけで問題と決めつけるのではなく、次のように具体化します。
- 対象は国内だけか、海外拠点も含むか
- 転勤の頻度、直近の実績、打診から赴任までの期間
- グループ会社への出向や顧客先常駐があるか
- 家庭事情などを申告する制度があるか
- 転居を伴う場合の費用・住宅支援があるか
リモートワークを前提に転職する場合は、「週3日在宅」のような現在の運用だけでなく、就業場所として自宅がどう扱われるか、出社頻度を会社が変更できるか、対象外となる期間や職種、通信費・備品の負担も確認しましょう。
仕事内容は職種名より具体的な役割を見る
同じ「マーケティング職」でも、広告運用、営業支援、イベント、データ分析では業務が異なります。雇入れ直後の業務が「マーケティング業務全般」とだけ書かれているなら、入社時の担当領域、目標、所属部署、レポートラインを尋ねます。
変更の範囲が「会社の定める業務」と広い場合は、職種をまたぐ異動があり得るか、職種限定採用としての合意があるかを確認します。将来のキャリアに関わるため、「実際にはどのような異動例がありますか」と運用実績を聞くと判断しやすくなります。
試用期間・有期契約は本採用後との差を確認する
試用期間で条件が変わる項目
試用期間がある場合は、期間の長さだけでなく、本採用後と違う条件を一覧にします。求人票では「試用期間あり」とだけ書かれ、詳細が通知書で初めて分かることもあります。
- 基本給や手当、固定残業代
- 賞与・昇給の算定対象期間
- 有給休暇や特別休暇の付与時期
- リモートワーク、フレックスなどの利用可否
- 試用期間を延長する場合の条件と上限
「本採用後は月給30万円だが、試用期間中は27万円」のような差があるなら、その金額と期間が求人時・契約時に明確に示されているか確認します。社会保険の加入についても、単に「試用期間だから対象外」と考えず、自分の雇用条件での取り扱いを人事へ確認してください。
有期契約は更新可能性だけでなく上限を見る
契約社員など期間の定めがある場合、「更新あり」だけでは十分な判断材料になりません。更新する場合があるのか、自動更新なのか、更新しないのかを区別し、判断基準と更新上限を確認します。
2024年4月以降、有期契約の締結時と更新時には、更新上限の有無と内容の明示が必要です。また、無期転換申込権が発生する更新のタイミングでは、無期転換を申し込める機会と、転換後の労働条件の明示も必要になります。
正社員求人へ応募したのに、通知書が6か月や1年の有期契約になっている場合は、単なる書式ミスなのか、試用期間を有期契約として扱うのか、採用区分そのものが変わったのかを承諾前に確認してください。
求人票・面接の説明と労働条件通知書が違う場合の対処法
差異を見つけても、すぐに「だまされた」「違法だ」と断定する必要はありません。求人票が幅を持たせた記載で、選考後に経験や役割を反映して個別条件が決まる場合もあります。一方、会社が募集時に示した条件を変更・特定・削除・追加する場合には、求職者へ変更内容を明示する必要があります。厚生労働省の「求人票や求人広告の条件と実際の条件が違う場合」にも案内があります。
差異があったら、次の順番で対応します。
- 差異を一文で整理する:「求人票は基本給30万円、通知書は基本給24万円と固定残業代6万円」など、資料と項目を特定します。
- 会社または転職エージェントへ確認する:変更理由、最終条件、ほかに変更点がないかを尋ねます。
- 書面へ反映してもらう:口頭説明で誤記と判明した場合は、修正版の発行を依頼します。
- 生活・キャリアへの影響を再評価する:条件の差が許容範囲か、入社判断をやり直します。
- 納得できるまで承諾を保留する:期限に間に合わない場合は、回答までの延長を相談します。
| 差異の例 | 考えられる状況 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 求人票は「月給30万〜40万円」、提示は32万円 | 募集時の範囲内で個別条件が決定 | 内訳と評価理由を確認して判断する |
| 面接では東京勤務、通知書の雇入れ直後は大阪 | 説明変更または書類の誤記の可能性 | 承諾前に理由を確認し、正しい書面を求める |
| 正社員求人だが通知書は1年契約 | 雇用区分の重要な相違 | 採用区分、更新、本採用への移行条件を確認する |
| 年収500万円と説明されたが、内訳が不明 | 賞与・残業代・手当を含む想定額の可能性 | 固定額と変動額を分けた明細を求める |
転職エージェントを利用している場合は、担当者にも同じ資料を共有し、企業側への確認を依頼できます。ただし、最終的に署名・承諾するのは自分です。エージェントの口頭説明だけで終わらせず、企業が発行する書面または企業からの回答で条件を確認しましょう。
印象を悪くしにくい労働条件の確認メール例文
条件確認では、会社を疑う言い方ではなく、「認識をそろえたうえで承諾したい」と目的を伝えます。質問を小分けに何度も送るより、項目をまとめ、どの記載について聞いているかを明確にすると採用担当者も回答しやすくなります。
件名:労働条件通知書の確認(氏名)
株式会社〇〇
採用ご担当者様お世話になっております。〇〇です。
このたびは内定のご連絡ならびに労働条件通知書をご送付いただき、誠にありがとうございます。入社後の認識をそろえたうえで承諾させていただきたく、以下3点をご確認いただけますでしょうか。
- 賃金欄の職務手当6万円は、固定残業代に当たりますでしょうか。該当する場合は、対象時間数と超過分の取り扱いをご教示ください。
- 就業場所の変更範囲にある「会社の定める事業所」には、国内の全拠点およびグループ会社への出向が含まれますでしょうか。
- 試用期間3か月中に、本採用後と異なる給与・休暇・福利厚生があればご教示ください。
恐れ入りますが、内定承諾期限の〇月〇日までにご回答いただけますと幸いです。確認にお時間を要する場合は、承諾期限についてもご相談させてください。
何卒よろしくお願いいたします。
転職エージェント経由なら、「企業へ質問してよいでしょうか」と許可を求める必要はありません。「次の3点について、企業から書面で回答を得られるよう確認をお願いします」と具体的に依頼します。
回答後に書面の修正を依頼する例文
ご回答ありがとうございます。雇入れ直後の勤務地は東京本社であり、大阪支社との記載は誤記とのこと、承知いたしました。入社後の認識相違を防ぐため、勤務地を修正した労働条件通知書を再発行いただくことは可能でしょうか。
修正版の発行に時間がかかる場合でも、会社から届いた訂正メールと元の通知書を一緒に保存しておきます。
内定承諾を急がず、追加確認したい8つのサイン
次のような状況があれば、即座に辞退すべきとまでは限りませんが、曖昧なまま承諾しない方が安全です。
- 給与、勤務地、雇用形態など重要項目が空欄や「未定」になっている
- 求人票や面接時より不利な条件なのに、変更理由の説明がない
- 基本給と固定残業代が分かれておらず、対象時間も分からない
- 想定年収の大部分が、支給条件の不明な賞与や歩合で構成されている
- 「転勤なし」と聞いていたが、勤務地の変更範囲が全国・海外になっている
- 試用期間中の減額や雇用形態の違いを、通知書で初めて知らされた
- 別紙や就業規則を参照するとあるのに、確認方法を案内してもらえない
- 質問への回答前に署名・承諾を強く求められ、書類の控えも受け取れない
判断するときは、1つの表現だけを切り取らず、質問への対応も見ます。担当者が誤記を認めて迅速に修正する会社と、質問を避けて説明を変え続ける会社では、同じ書類不備でも意味が異なります。
承諾後・入社後に条件の違いへ気づいた場合
内定承諾後や入社後に違いへ気づいた場合も、まず事実を時系列で整理します。求人票、労働条件通知書、雇用契約書、会社とのメール、給与明細、勤怠記録などを保存し、「いつ、誰から、どの条件を示されたか」を一覧にします。
- 人事・採用担当者へ、相違する資料と項目を示して確認する
- 正しい条件について書面で回答を求める
- 説明で解決しない場合は、社内の相談窓口や労働組合へ相談する
- 必要に応じて、公的な労働相談窓口や専門家へ相談する
法的な評価は、資料、合意の経緯、実際の働き方などによって変わります。自分だけで結論を出しにくい場合は、厚生労働省委託の労働条件相談「ほっとライン」や、都道府県労働局・労働基準監督署などの相談窓口を利用できます。相談前に資料と質問を整理しておくと、状況を伝えやすくなります。
労働条件通知書に関するよくある質問
労働条件通知書はいつもらえますか?
法律上は、会社が労働契約の締結に際して労働条件を明示します。転職者としては、入社するかを判断できるよう、できるだけ内定承諾前に受け取り、確認するのが安全です。内定連絡だけで条件書が届いていない場合は、「承諾前に最終条件を確認したい」と依頼しましょう。
労働条件通知書と雇用契約書の両方が必要ですか?
必ず2種類の書類名で発行されるわけではありません。労働条件通知書は会社による条件明示、雇用契約書は双方の合意を記録する役割があり、両方を兼ねた書式もあります。名称や枚数ではなく、必要な条件が明示され、合意内容が確認できるかを見てください。
PDFやメールで受け取っても問題ありませんか?
労働者が希望した場合は、FAXや電子メールなど、出力して書面を作成できる方法で明示することも認められています。受け取ったPDFやメールは、会社のアカウントだけに置かず、自分が継続して確認できる形で安全に保管しましょう。
通知書に署名を求められたら、すぐ返送すべきですか?
内容を確認し、疑問点を解消してから対応します。承諾期限が設定されている場合も、確認に必要な日数を伝えて延長できるか相談できます。署名の意味が「受領確認」なのか「契約への同意」なのか分からなければ、あわせて確認してください。
求人票と通知書の給与が違ったら、どちらが優先ですか?
求人票の記載がそのまま最終的な個別条件になるとは限らず、選考中に別の条件で合意する場合もあります。ただし、募集時の条件を変更する場合は変更内容の明示が必要です。どちらかを自己判断で選ぶのではなく、差異と変更理由を会社へ確認し、最終的に合意する条件を書面で明確にしてください。
固定残業代がある会社では、毎月その時間まで残業するのですか?
固定残業代の対象時間は、実際にその時間数の残業を必ず行うという意味ではありません。残業の指示や実績とは分けて考えます。対象時間・金額・超過分の支払いに加えて、配属部署の実際の残業時間を確認してください。
試用期間中だけ給与が低くてもよいのですか?
試用期間中に異なる給与条件を設ける会社はありますが、その条件は求人・契約の段階で明確に確認する必要があります。通知書で初めて減額を知った場合は、金額、対象期間、求人票との差、最低賃金を含む法令上の扱いについて会社へ確認し、必要なら公的窓口へ相談してください。
福利厚生や副業のルールが通知書にありません
住宅手当、リモートワーク、副業、資格支援などの詳細は、就業規則や個別規程に定められていることがあります。自分の入社判断に重要な制度は、対象条件、申請方法、会社が制度を変更する可能性まで確認しましょう。求人広告のキャッチコピーだけで利用できると判断しないことが大切です。
受け取った通知書はいつまで保管すべきですか?
在職中はすぐ確認できるよう保管し、退職後も給与や退職条件などの確認が必要になる可能性に備えて保存しておくと安心です。修正版や追加回答がある場合は、古い版を消さず、受領日が分かるメールと一緒に管理してください。
まとめ|労働条件は承諾前に「比較・質問・保存」する
労働条件通知書を受け取ったら、月給の総額だけで判断せず、契約期間、試用期間、勤務地と仕事内容の変更範囲、勤務時間、休日、給与の内訳、固定残業代、退職条件まで確認します。
確認の基本は、次の3つです。
- 比較:求人票、面接時の説明、メールと通知書を照合する
- 質問:変更・空欄・曖昧な表現を、項目と資料を示して確認する
- 保存:通知書、修正版、会社の回答を受領日が分かる形で残す
質問によって入社後の働き方が具体的になれば、会社にとっても本人にとっても認識違いを減らせます。内定承諾を急ぐ気持ちがあるときほど、この15項目を上から確認し、納得できる条件を書面に残してから次へ進みましょう。