転職活動で2社以上から内定を得ると、うれしさと同時に「どちらを選べば後悔しないのか」という迷いが生まれます。年収はA社、仕事内容はB社、働きやすさはA社、将来性はB社というように、すべての条件で一方が優れているケースは多くありません。

複数内定を比較するときは、会社の知名度や提示年収だけで決めず、今回の転職で解決したいこと、譲れない条件、入社後に引き受けるリスクを同じ表へ並べることが重要です。点数だけで機械的に決めるのではなく、事実と推測を分け、未確認項目を企業へ質問したうえで最終判断します。

この記事では、2社の内定で迷っている転職者に向けて、比較前に行う確認、重み付き判断表の作り方、年収や仕事内容が拮抗した場合の決め方、回答期限の調整手順、承諾前の最終チェックを解説します。

目次

  1. 複数内定で迷ったときの結論
  2. 最初に回答期限と書面をそろえる
  3. 求人票ではなく最終条件を比較する
  4. ステップ1:今回の転職目的へ戻る
  5. ステップ2:譲れない条件で足切りする
  6. ステップ3:2社比較表を作る
  7. ステップ4:重み付きで点数を付ける
  8. ステップ5:不確実性とリスクを補正する
  9. 比較表の記入例
  10. 条件別に2社で迷ったときの考え方
  11. 比較材料が足りないときの確認質問
  12. 回答期限を調整する手順
  13. 回答期限の延長を依頼するメール例文
  14. 期限延長を断られた場合の決め方
  15. 決断を誤りやすい7つの行動
  16. 最終的に決められないときの5つの質問
  17. 内定承諾・辞退前のチェックリスト
  18. よくある質問
  19. まとめ

複数内定で迷ったときの結論

2社の内定で迷ったら、次の順番で判断します。

  1. 両社の回答期限と最終的な労働条件を確認する
  2. 今回の転職で絶対に解決したいことを一つ決める
  3. 譲れない条件を満たさない会社を候補から外す
  4. 同じ比較項目へ重みと点数を付ける
  5. 未確認情報と入社後のリスクを別に評価する
  6. 必要なら回答期限を調整し、追加情報を集める
  7. 選んだ理由を一文で説明できる会社へ決める

比較表の目的は、正解を自動的に出すことではありません。自分が何を重視し、どの不確実性を受け入れて決めたのかを明確にすることです。情報が足りないまま点数を付けると、希望的観測を数字に置き換えただけになります。

「有名だから」「年収が高いから」「先に内定をくれたから」だけで決めず、入社後の毎日と1〜3年後のキャリアを具体的に想像してください。

最初に回答期限と書面をそろえる

比較を始める前に、A社とB社について次の情報をそろえます。

  • 内定への回答期限
  • 雇用形態と契約期間
  • 入社予定日
  • 配属部署、役職、具体的な仕事内容
  • 基本給、固定残業代、手当、賞与、想定年収
  • 勤務地、転勤、リモートワーク、勤務時間
  • 試用期間と期間中の条件
  • 休日、休暇、福利厚生
  • 評価制度と入社後に期待される成果

内定通知のメール、オファーレター、労働条件通知書などを一か所へ集めます。口頭で説明された条件は、認識相違を避けるためメールで確認し、できる限り書面へ反映してもらいましょう。

最初に作る期限管理表

確認項目 A社 B社
内定を受けた日 ○月○日 ○月○日
回答期限 ○月○日 ○時 ○月○日 ○時
条件書面の受領 受領済み・未受領 受領済み・未受領
未確認事項の回答予定 ○月○日 ○月○日
延長相談の要否 必要・不要 必要・不要

「○日まで」とだけ書かれている場合は、時刻や回答方法も確認してください。期限の認識が曖昧なまま最終日を迎えないよう、内定のお礼とともに確認します。

求人票ではなく最終条件を比較する

複数内定の比較では、応募時に見た求人票ではなく、自分に最終提示された条件を使います。求人票は募集時点の情報であり、選考を通じて配属、役職、給与、入社日などが具体化する場合があるからです。

求人時に示された条件を変更、追加、削除、特定する場合、企業には変更内容を求職者へ明示するルールがあります。また、労働契約の締結に際しては、賃金や労働時間など一定の労働条件を明示する必要があります。

次のような状態では、まだ比較を始める段階ではありません。

  • A社は基本給、B社は各種手当込みの月給を比べている
  • 一方の賞与は実績額、もう一方は満額支給の想定額になっている
  • 固定残業代の金額だけで、対象時間が分からない
  • 「配属予定」「リモート可」などの具体的な条件が不明である
  • 口頭説明と書面の内容が一致していない

数字の定義をそろえ、分からない項目は「未確認」と記載します。空欄を自分に都合よく補わないことが、比較の精度を高めます。

ステップ1:今回の転職目的へ戻る

2社とも魅力的に見えるときは、「どちらが良い会社か」ではなく、「なぜ転職活動を始めたのか」へ戻ります。

まず、今回の転職で解決したいことを優先順位の高い順に3つ書きます。

  1. 今回、必ず解決したいこと
  2. できれば改善したいこと
  3. 将来のために得たい経験

転職目的の記入例

1.顧客対応だけでなく、企画と改善まで担当できる仕事へ移る
2.平日の残業を月20時間以内に抑える
3.3年以内にチームリーダーへ挑戦できる経験を得る

退職理由が「給与が低い」だった人でも、本当に解決したかったことが生活の安定なのか、評価への納得感なのか、責任に見合う報酬なのかによって選ぶ会社は変わります。表面的な条件の奥にある目的を言葉にしてください。

転職理由を反転させて条件へ変える

現職で感じた問題 転職先へ求める条件
仕事内容が単調で成長できない 担当範囲、入社後のミッション、将来の役割が明確
評価が上司の感覚で決まる 評価項目、目標設定、昇給基準が説明されている
残業が多く生活に影響している 通常期と繁忙期の残業、休日対応、勤務時間が許容範囲
転勤の可能性が高い 勤務地と変更範囲が希望に合う
給与が上がらない 初年度年収だけでなく、評価と昇給の仕組みが明確

ステップ2:譲れない条件で足切りする

すべての項目を点数化する前に、守れなければ入社できない条件を確認します。これを「必須条件」として、希望条件と分けます。

必須条件の例

  • 介護や育児のため、勤務地が特定地域内である
  • 生活費のため、最低年収が決まっている
  • 健康上の理由から、夜勤や長時間の立ち仕事が難しい
  • 希望職種として採用され、別職種への配属ではない
  • 入社可能日が現職の退職日と両立する
  • 転居や全国転勤へ対応できない

必須条件は多くても3つ程度に絞ります。何でも必須にすると比較できません。反対に、生活や健康に直結する条件を年収の高さで相殺しないでください。

判定 対応
両社とも必須条件を満たす 次の比較表へ進む
一方だけが満たす 原則として満たす会社を優先する
両社とも満たさない 無理に一社を選ばず、現職継続や転職活動の継続も検討する
満たすか分からない 点数を付けず、企業へ確認する

ステップ3:2社比較表を作る

必須条件を通過したら、A社とB社を同じ項目で比較します。次の表をコピーし、説明の根拠も一緒に記入してください。

比較項目 A社 B社 確認できる資料・質問先
具体的な仕事内容 担当業務・業務比率 担当業務・業務比率 求人票、面接、配属予定部署
入社後の期待 最初の3〜6か月の目標 最初の3〜6か月の目標 直属上司、オファー面談
成長・キャリア 得られる経験、次の役割 得られる経験、次の役割 評価制度、社員事例
上司・チーム 人数、役割、意思決定 人数、役割、意思決定 直属上司、採用担当者
確定年収 基本給・確定手当 基本給・確定手当 労働条件通知書
変動報酬 賞与・歩合の条件 賞与・歩合の条件 賃金規程、支給実績
働き方 勤務時間・残業・在宅 勤務時間・残業・在宅 条件書面、部署実態
勤務地・転勤 配属地・変更範囲 配属地・変更範囲 労働条件通知書
休日・休暇 年間休日・休日対応 年間休日・休日対応 求人票、就業規則
評価・昇給 基準・頻度・昇格条件 基準・頻度・昇格条件 評価制度、直属上司
事業・職種のリスク 採用理由・組織課題 採用理由・組織課題 面接、公開情報
入社日 調整可能範囲 調整可能範囲 採用担当者

表には良い点だけでなく、負担も書きます。「裁量が大きい」は「決まった手順や支援が少ない」、「安定企業」は「役割変更に時間がかかる」といったように、同じ特徴には表裏があります。

ステップ4:重み付きで点数を付ける

比較項目の重要度は人によって異なります。単純な丸の数ではなく、まず自分にとっての重みを1〜5で決め、その後に各社の評価を1〜5で付けます。

  • 重み5:転職の成否を左右する最重要項目
  • 重み4:できる限り満たしたい項目
  • 重み3:重要だが他条件との調整が可能
  • 重み2:あれば望ましい項目
  • 重み1:判断への影響が小さい項目

項目ごとの点数=重み×会社の評価として合計します。例えば、仕事内容の重みが5でA社の評価が4なら20点です。

ただし、情報がない項目は1点ではなく「未確認」とします。情報不足を低評価と混同すると、質問すれば解決する問題と、実際に条件が悪い問題を区別できません。

評価点の付け方

評価 基準
5点希望を明確に上回り、根拠も確認できる
4点希望を十分に満たす
3点許容範囲である
2点不満はあるが、条件次第で受け入れられる
1点希望と大きく異なる
未確認判断材料がなく、企業への質問が必要

ステップ5:不確実性とリスクを補正する

点数が高くても、前提となる情報が曖昧なら安心して選べません。合計点とは別に、情報の確かさを確認します。

情報の確度を3段階に分ける

確度 情報の例 扱い
高い 労働条件通知書、雇用契約書、就業規則に記載 比較の事実として扱う
中程度 採用担当者や直属上司から具体的な説明がある メールで確認し、認識をそろえる
低い 「たぶん」「将来的には」「人による」など曖昧な説明 確定条件とみなさず、追加質問する

特に、配属先、リモートワーク、残業、昇給、将来の異動は、希望的観測が入りやすい項目です。「制度がある」と「自分の配属先で実際に使える」は分けて確認します。

最悪のケースを比べる

各社について、期待どおりに進まなかった場合を想像します。

  • A社で希望部署へ配属されなかった場合でも働き続けられるか
  • B社で賞与が想定より少なくても生活できるか
  • リモート日数が減っても通勤を続けられるか
  • 上司や組織体制が変わっても、仕事内容そのものに価値を感じられるか
  • 昇進が予定より遅れても、得られる経験に納得できるか

「うまくいったときの魅力」だけでなく、「想定外が起きたときに受け入れられる負担」を比べると、後悔しにくい判断になります。

比較表の記入例

次は、仕事内容と働き方を重視する人の記入例です。点数はあくまで本人の価値観に基づくため、同じ会社でも別の人なら結果は変わります。

比較項目 重み A社評価 A社点数 B社評価 B社点数
仕事内容5525420
キャリアの広がり4416520
上司・チーム5420315
年収339515
勤務時間・柔軟性5525315
勤務地4416312
評価制度339412
事業・職種の安定性341239
合計132118

この例ではA社が上回りますが、合計点だけで決定しません。A社の仕事内容が書面や直属上司との面談で確認できているか、B社の年収差が将来の昇給も含むのかなど、得点差を生んだ重要項目の根拠を再確認します。

点数が近い場合は計算を細かくするより、上位3項目と最大のリスクを比べた方が有効です。1点差を正解のように扱わないでください。

条件別に2社で迷ったときの考え方

年収が高い会社と仕事内容が魅力的な会社

年収差を月の手取り感だけでなく、基本給、変動報酬、労働時間、通勤時間、将来の市場価値に分けます。

  • 年収差は確定額か、賞与や歩合を満額で計算した差か
  • 固定残業代や想定残業時間を含め、時間単価で見ても高いか
  • 仕事内容の差が、3年後の選択肢や年収へつながるか
  • 低い方の年収でも生活、貯蓄、家族の予定を維持できるか

仕事内容を優先すれば必ず将来の年収が上がるわけではありません。反対に、初年度年収だけを優先して、望まない仕事を毎日続けられないこともあります。確定収入と得られる経験を別々に評価してください。

大手企業とベンチャー企業

会社規模ではなく、実際に任される役割と支援体制を比較します。

確認項目 大手で確認したいこと ベンチャーで確認したいこと
役割 担当範囲、異動、意思決定の権限 役割変更の頻度、兼務、優先順位
育成 研修後の配属、上司、評価基準 引き継ぎ、相談相手、業務の標準化
安定性 事業再編や配置転換の可能性 収益源、資金、採用理由、組織計画
成長 専門性と社内キャリアの選択肢 広い裁量が市場価値につながるか

リモートワークと出社中心の会社

制度の有無だけでなく、配属部署での実態を比較します。出社中心でも通勤が短く相談しやすい環境なら、完全在宅より自分に合う場合があります。

  • 通常の出社日数と、繁忙期・研修中の扱い
  • 在宅勤務が会社制度か、上司判断か
  • 通勤時間を含む一日の拘束時間
  • 対面で得られる支援と、在宅で得られる集中時間
  • 将来、制度が変わった場合も勤務を続けられるか

社風が良さそうな会社と条件が良い会社

面接で感じた雰囲気は参考になりますが、面接官一人の印象を会社全体の社風と同一視しないようにします。次の具体的な行動へ置き換えて比較してください。

  • 質問へ具体的に答え、良い面と課題の両方を説明したか
  • 面接官同士で仕事内容や条件の説明が一致していたか
  • 入社後の直属上司と話せたか
  • 目標未達や失敗時の支援方法が説明されたか
  • 募集理由と退職者の後任か増員かが明確か

比較材料が足りないときの確認質問

内定後でも、承諾に必要な情報は確認できます。一度に大量の質問を送るのではなく、判断へ影響する項目へ絞り、なぜ確認したいかを添えます。

仕事内容・期待役割

  • 入社後3か月から6か月で期待される成果を教えていただけますか
  • 募集業務のうち、日常的に占める割合が最も大きいものは何ですか
  • 今回の採用は増員でしょうか、欠員補充でしょうか

上司・チーム

  • 配属予定チームの人数と役割分担を教えていただけますか
  • 入社後の直属上司となる方とお話しできる機会はありますか
  • 業務上の相談や目標確認はどの程度の頻度で行いますか

評価・キャリア

  • 入社初年度は、どのような項目で評価されますか
  • 目標設定と評価面談は年に何回ありますか
  • この職種から想定される次の役割にはどのようなものがありますか

働き方

  • 配属予定部署における通常期と繁忙期の残業時間を教えていただけますか
  • 休日や勤務時間外の対応が発生する場面はありますか
  • リモートワーク制度と、配属予定部署での利用実態を教えていただけますか

質問への回答内容だけでなく、曖昧な点へどのように向き合う会社かも判断材料です。ただし、人事担当者が即答できない項目があるだけで問題企業とは限りません。確認先を探し、期限までに回答しようとしているかを見ます。

回答期限を調整する手順

複数内定の回答期限がずれている場合は、先に期限が来る会社へ延長を相談し、必要に応じてもう一方へ条件提示や面談の前倒しを相談します。

  1. 両社の期限を正確に確認する
  2. 比較に不足している情報と、回答を得られる日を確認する
  3. 必要な延長日数を最小限に決める
  4. 期限より前に、具体的な年月日を示して相談する
  5. 認められた新しい期限をメールで確認する
  6. 延長期間中に情報収集と比較を終える

回答期限には全国一律の期間があるわけではなく、採用計画や入社予定日によって企業ごとに異なります。延長は権利として要求するものではなく、企業が応じられるかを相談するものです。

内定を受け取った連絡自体を放置せず、まずお礼と受領を伝えます。延長が必要だと分かった時点で早めに相談し、期限当日の夜に初めて連絡することは避けましょう。

延長希望日の決め方

「しばらく待ってほしい」ではなく、次の情報から必要な日を逆算します。

  • もう一社から最終条件が届く日
  • 追加面談や質問回答を受ける日
  • 比較表を見直し、家族などへ相談する日
  • 自分が最終回答できる日

他社の回答日が不明なのに長期間の延長を求めると、延長しても判断できません。先にもう一社へ連絡し、条件提示や選考結果の見込み日を確認してください。

回答期限の延長を依頼するメール例文

件名:内定のご回答期限に関するご相談(氏名)

株式会社○○
採用ご担当者様

お世話になっております。○○です。
このたびは内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。

貴社への入社について前向きに検討しておりますが、今後のキャリアに関わる重要な判断のため、ご提示いただいた労働条件を改めて確認し、十分に検討したうえで回答したいと考えております。

大変恐縮ですが、回答期限を○月○日までお待ちいただくことは可能でしょうか。延長いただけた場合は、同日中に必ずご回答いたします。

こちらの都合によるお願いとなり申し訳ございません。ご検討のほど、何卒よろしくお願いいたします。

氏名

他社の内定を理由として伝える場合も、企業名、提示年収、他社への順位などを詳しく説明する必要はありません。「複数の選択肢を含め、納得して意思決定したい」と事実を簡潔に伝えます。入社意思が固まっていないのに「御社が第一志望です」と断定することは避けましょう。

転職エージェント経由の場合

担当者へ、各社の回答期限、延長希望日、未確認事項、判断に必要な条件をまとめて伝えます。「少し待ってほしい」だけでなく、「B社の最終条件が○日に出るため、A社へ○日までの延長を相談してほしい」と具体的に依頼すると調整しやすくなります。

期限延長を断られた場合の決め方

企業が延長に応じない場合、無断で期限を過ぎるのではなく、提示された期限までに承諾または辞退を決めます。

  1. すでに確認できた書面条件を並べる
  2. 未確認項目が判断へ与える影響を評価する
  3. 必須条件を満たす会社か確認する
  4. 転職を始めた目的をより満たす会社を選ぶ
  5. どちらも満たさないなら、両社を辞退する選択肢も残す

「期限を延ばしてくれない会社は必ず悪い」とは限りません。採用人数、次の候補者、入社日、事業計画などの事情があります。一方、重要条件への質問に答えないまま即時承諾だけを迫る場合は、情報不足そのものをリスクとして評価してください。

決断を誤りやすい7つの行動

1. 年収の大きさだけで決める

基本給、固定残業代、賞与の確実性、労働時間、役割を分解せずに想定年収だけを比べると、実際の負担や手取り感を見誤ります。

2. 面接官の印象だけで社風を決める

面接官と直属上司が異なることもあります。印象は無視せず、説明の一貫性、質問への具体性、配属先の情報で補強します。

3. 口コミを事実として点数化する

口コミは部署、時期、職種によって事情が異なります。気になる内容は質問へ変換し、現在の配属予定部署について確認してください。

4. 家族やエージェントへ決定を委ねる

生活への影響や市場情報を聞くことは有効ですが、重視する項目と最終判断は本人が決めます。第三者の意見は、自分が見落としたリスクを探すために使いましょう。

5. 内定を獲得した苦労で決める

面接回数が多かった、長期間選考を受けた、有名企業に受かったという達成感は、入社後の適合とは別です。これまで使った時間ではなく、これから得る経験で判断します。

6. 両社へ承諾してから考える

承諾を時間稼ぎの予約として扱うと、企業の入社準備や他候補者の採用判断へ影響します。比較と期限調整は承諾前に行い、一社を選んでから回答してください。

7. 不安がゼロになるまで決めない

入社前に分からないことは必ず残ります。重要なのは、不確実性をゼロにすることではなく、何が不明で、起きた場合に受け入れられるかを把握することです。

最終的に決められないときの5つの質問

比較表でも点差が小さい場合は、次の質問へ答えてください。

  1. 片方の内定が今なくなったら、残念なのはどちらか
  2. 月曜日の朝に向かう場面を想像したとき、前向きになれるのはどちらか
  3. 入社1年後、どのような仕事ができていれば転職成功と言えるか
  4. 期待が外れた場合でも、受け入れられるリスクはどちらか
  5. 第三者へ「この会社を選ぶ理由」を一文で説明できるのはどちらか

直感だけで決めるのは危険ですが、すべての事実をそろえた後も迷うなら、直感は最後の補助材料になります。その際も「何となく」ではなく、どの場面や説明に安心・違和感を覚えたのかを書き出しましょう。

選択理由を一文にする例

A社を選ぶ。今回の転職で最も実現したかった企画業務を主担当として経験でき、直属上司から入社後の期待も具体的に確認できたため。B社より初年度年収は低いが、生活上の最低条件は満たし、残業と勤務地のリスクも許容範囲である。

この一文に事実、優先順位、受け入れる不利益が入っていれば、納得度の高い判断になっています。

内定承諾・辞退前のチェックリスト

  • 両社の回答期限と回答方法を確認した
  • 最終的な労働条件を書面で受け取った
  • 基本給、固定残業代、賞与を分けて比較した
  • 配属、仕事内容、入社後の期待を確認した
  • 勤務地と業務の変更範囲を確認した
  • 試用期間中の雇用形態と条件を確認した
  • 今回の転職で解決したいことを一つに絞った
  • 譲れない条件を両社が満たすか確認した
  • 未確認項目を希望的観測で埋めていない
  • 良い面だけでなく、受け入れる負担も比較した
  • 入社可能日が現職の退職日程と両立する
  • 選ぶ会社と辞退する会社への連絡準備ができた

承諾する会社を決めたら、期限内に指定された方法で回答します。辞退する会社にも、決定後できるだけ早く感謝と辞退の意思を伝えます。他社の条件を詳しく比較して説明する必要はありません。

よくある質問

2社の点数が同じなら、年収が高い方を選ぶべきですか

必ずしもそうではありません。合計点が同じなら、重み5の項目、最も大きなリスク、情報の確度を比べます。年収差が確定額で、他の重要条件が同等なら年収を最終基準にしてもよいでしょう。一方、賞与や歩合の想定だけで差が出ている場合は、確実性を確認してください。

回答期限はどのくらい延長してもらえますか

企業や採用状況によって異なり、希望どおり認められる保証はありません。必要な情報がそろう日から逆算し、具体的な年月日を示して早めに相談します。長く確保することより、延長期間中に判断を完了できる計画を立てることが重要です。

他社からも内定があると正直に伝えてよいですか

伝えても構いません。ただし、他社名や提示条件まで詳しく共有する必要はありません。複数の選択肢を慎重に比較していること、いつまでに必ず回答するかを簡潔に伝えます。

会社の将来性はどのように比べればよいですか

会社全体の成長予測だけでなく、自分が入る事業、職種、採用ポジションの必要性を確認します。募集理由、主要顧客、収益源、組織計画、入社後の役割を調べ、公開情報と面接説明が一致するかを見てください。将来性を断定するのではなく、確認できた事実と不確実性を分けます。

転職エージェントが強く勧める会社を選ぶべきですか

担当者の市場情報や企業理解は参考になりますが、最終判断を委ねる必要はありません。「なぜ自分に合うと考えるのか」「懸念点は何か」「配属後にどのようなキャリアが想定されるか」を具体的に聞き、比較表の材料として使います。

家族が反対する会社を選んでもよいですか

反対理由を分解してください。収入、勤務地、勤務時間、企業の安定性など生活を共有する人へ直接影響する条件は、本人だけの問題ではありません。一方、知名度の印象だけが理由なら、仕事内容や条件の事実を共有して話し合います。

どちらも決め手に欠ける場合はどうすればよいですか

内定が出たから必ずどちらかへ入社しなければならないわけではありません。両社とも必須条件を満たさず、現職継続や転職活動の継続が可能なら、両方を辞退する選択肢もあります。ただし、理想を増やし続けて決められない状態と、条件不足は区別してください。

内定承諾後にもう一社へ変えてもよいですか

内定承諾を単なる仮予約として扱わないでください。承諾の方法や通知内容、やり取りによって労働契約上の扱いが問題になる場合もあります。やむを得ず意思を変更する事情が生じたら放置せず、できる限り早く企業へ連絡し、個別の問題がある場合は労働局や法律の専門家へ相談してください。

公的情報で確認できる労働条件のルール

比較の前提となる労働条件が曖昧な場合は、承諾を急がず企業へ確認してください。個別の採用内定や労働契約をめぐるトラブルは、都道府県労働局の総合労働相談コーナーや法律の専門家へ相談します。

まとめ

複数内定で迷ったときは、世間一般の「良い会社」を選ぶのではなく、今回の転職目的と譲れない条件を最も満たす会社を選びます。

  • 回答期限と最終条件を先にそろえる
  • 求人票ではなく、自分に提示された書面条件を比較する
  • 必須条件で足切りしてから、重み付き比較表を使う
  • 未確認項目を希望的観測で埋めず、企業へ質問する
  • 点数だけでなく、情報の確度と受け入れられるリスクを見る
  • 期限調整は早めに、具体的な回答日を示して相談する
  • 最終的に選んだ理由を一文で説明できる状態にする

まずはA社とB社の回答期限を並べ、今回の転職で絶対に解決したいことを一つ書いてください。そのうえで比較表を埋めると、情報不足で迷っているのか、価値観が定まらず迷っているのかが見えてきます。