退職日が決まると、引き継ぎや有給消化に意識が向き、「健康保険や年金は会社が全部処理してくれるのでは」「転職先が決まっているから何もしなくてよい」と考えがちです。しかし、退職日の翌日から次の会社の社会保険へ加入するまでに空白がある場合は、自分で手続きしなければならないものがあります。

結論からいうと、退職後にやることは「次の会社へ退職翌日に入社する」「入社まで1日以上空く」「転職先が決まっていない」の3パターンで異なります。特に健康保険と年金は、次の入社日が決まっていても、資格に空白があれば切り替え手続きが必要です。

本記事では、退職前から退職後に行う手続きを時系列で整理し、転職先が決定済み・未定の場合の違い、健康保険の選び方、国民年金、失業給付、住民税、確定申告、会社から受け取る書類まで解説します。制度や必要書類は加入先・自治体・個別事情によって異なるため、最終的には各窓口の案内も確認してください。

退職後にやることは3パターンで決まる

最初に確認するのは、「最終出勤日」ではなく正式な退職日と、次の会社の入社日です。有給消化中はまだ在籍しているため、社会保険の資格も原則として退職日まで続きます。

状況 健康保険・年金 雇用保険 主な対応
退職翌日に転職先へ入社 転職先で加入要件を満たせば会社が手続き 転職先が手続き 必要書類を転職先へ提出する
転職先は決定済みだが入社まで空く 空白期間について自分で切り替える 内定・就職決定済みなら基本手当の対象となる「失業」には原則該当しない 健康保険と年金を優先して処理する
転職先が未定 自分で切り替える 要件を満たせば基本手当を申請できる 健康保険・年金に加え、ハローワークで求職申込みを行う

最初の判断基準:退職日の翌日と入社日が連続しているかを確認します。土日を挟む場合も、雇用契約上の入社日が月曜日なら、土日に資格の空白が生じる可能性があります。

たとえば3月31日退職・4月1日入社で、新しい会社の健康保険・厚生年金へ4月1日付で加入するなら、通常は国民健康保険や国民年金第1号への切り替えは不要です。一方、3月31日退職・4月16日入社なら、4月1日から15日までの手続きが必要です。

雇用形態も確認:次の勤務先が決まっていても、労働時間などの加入要件を満たさず、健康保険・厚生年金へ加入しない働き方なら、自分で国民健康保険・国民年金などの手続きを行います。「入社する=必ず社会保険へ加入」とは限りません。

退職前後の手続き期限一覧

すべての書類が退職日にそろうとは限りません。期限が短いものから先に動けるよう、手続きを時系列で整理しておきましょう。

時期・期限 行うこと 対象者 主な窓口
退職前 退職日・入社日、書類の送付先と発行予定を確認 全員 前職・転職先
退職日まで 会社の物品を返却し、私物と個人用書類を回収 全員 前職
退職翌日から 前職の健康保険資格を使わない 全員 前職・前職の保険者
原則14日以内 国民健康保険へ加入 国保を選ぶ人 住所地の市区町村
退職翌日から14日以内 国民年金第1号へ切り替え 20歳以上60歳未満で対象となる人 市区町村・年金事務所
退職翌日から20日以内 健康保険の任意継続を申し込む 任意継続を選ぶ人 退職前の健康保険の保険者
離職票が届いたら 求職申込み・基本手当の受給手続き 転職先未定で受給を希望する人 住所地を管轄するハローワーク
退職後1か月以内 給与所得の源泉徴収票が交付されたか確認 全員 前職
年末まで 源泉徴収票を転職先へ提出し年末調整 同じ年に再就職した人 転職先
翌年 必要に応じて確定申告・還付申告 年末調整を受けていない人など 税務署・e-Tax

14日以内や20日以内という期限は、会社から書類が届く日を基準にするのではなく、原則として資格を失った日などから数えます。必要書類が期限までに届かない場合は、何もせず待つのではなく、期限内に市区町村や保険者へ相談してください。

退職時に会社から受け取る書類

退職後の手続きが止まる原因として多いのが、必要書類の不足です。退職前に、人事・総務へ「どの書類が、いつ、どの住所へ、紙または電子で届くか」を確認しましょう。

書類・情報 主な用途 確認ポイント
健康保険資格喪失証明書 国民健康保険や家族の扶養へ切り替える際の証明 自動発行されない会社もあるため、必要なら退職前に依頼
雇用保険被保険者離職票-1・2 基本手当の受給手続き 希望の有無を会社へ伝え、退職理由・賃金の記載を確認
雇用保険被保険者証または被保険者番号 転職先での雇用保険手続き 見当たらない場合は前職・転職先・ハローワークへ相談
給与所得の源泉徴収票 転職先の年末調整、確定申告 中途退職者への交付期限は退職後1か月以内
退職所得の源泉徴収票 退職金に関する税務確認 退職金の支給がある人は給与分とは別に確認
退職証明書 退職日・在職期間などの証明 必要事項を指定して請求でき、会社は請求を受けたら遅滞なく交付
基礎年金番号が分かるもの 年金の切り替えや転職先の手続き 基礎年金番号通知書、年金手帳、ねんきんネットなどで確認
最終給与明細・退職金明細 未払い、控除、住民税、社会保険料の確認 控除が通常月より大きい場合は内訳を確認

離職票は退職証明書と同じ書類ではありません。基本手当には離職票を使い、国民健康保険などでは資格喪失証明書や退職証明書を求められることがあります。用途ごとに必要書類を確認してください。

給与所得の源泉徴収票は、年の途中で退職した場合、会社が退職後1か月以内に交付する必要があります。転職先が決まっている人も、年末調整に必要となるため保管します。

退職前・最終出勤日までに行うこと

正式な退職日と入社日を書面で確認する

最終出勤日、有給消化の開始日、退職日は別の日になることがあります。手続きの起点になるのは原則として退職日です。転職先についても、初出勤日ではなく雇用契約上の入社日と、社会保険の資格取得予定日を確認します。

退職後の連絡先と書類送付先を伝える

離職票や源泉徴収票は、退職後に郵送または電子交付されることがあります。引っ越し予定がある人は、送付先、メールアドレス、電話番号を人事担当者へ伝え、郵便物の転送手続きも行います。

会社の物品と個人の書類を分ける

社員証、入館証、鍵、パソコン、携帯電話、制服、法人カード、社用資料などは会社の指示に従って返却します。一方、雇用契約書、労働条件通知書、給与明細、有給休暇や残業時間を確認できる個人向け資料は保管します。

自分が作成した資料であっても、顧客情報、営業秘密、社内データ、他人の個人情報を持ち出してはいけません。実績を転職先へ説明するために必要な場合も、守秘義務に触れない範囲で数値や役割を整理してください。

最終給与と精算予定を確認する

最終給与の支給日、未精算の交通費・立替経費、賞与の在籍要件、退職金、住民税の徴収方法、社会保険料の控除月を確認します。会社によっては、前月分と当月分の社会保険料が最終給与からまとめて控除されることがあり、手取り額が想定より少なくなる場合があります。

資格確認書を返却する

2026年時点では、従来の健康保険証はすでに有効期限を終了しており、医療機関ではマイナ保険証または資格確認書を使います。前職から資格確認書が交付されている場合は、扶養家族分を含めて会社の案内に従い返却します。

マイナンバーカードそのものを会社へ返す必要はありません。退職翌日以降は前職の健康保険資格を使えないため、マイナ保険証を持っていても、新しい加入先への切り替えが完了しているか確認が必要です。

退職翌日に転職先へ入社する場合

退職日の翌日に転職先へ入社し、転職先で健康保険・厚生年金・雇用保険の加入要件を満たすなら、各資格の取得手続きは原則として転職先が行います。本人が市区町村で国民健康保険や国民年金へ切り替える必要は通常ありません。

ただし、転職先から求められた次の情報・書類は期限までに提出します。

  • マイナンバーを確認できる書類
  • 基礎年金番号が分かるもの
  • 雇用保険被保険者番号が分かるもの
  • 扶養家族に関する書類
  • 給与所得の源泉徴収票
  • 転職先が指定する給与口座、通勤、本人確認などの書類

源泉徴収票は退職後に届くことがあるため、入社初日に間に合わなくても直ちに入社できないとは限りません。いつまでに提出すれば年末調整へ間に合うか、転職先へ確認しましょう。

資格反映には時間差がある:入社日付で健康保険の資格を取得していても、マイナポータルや医療機関の画面へ反映されるまで時間がかかる場合があります。入社直後に受診予定がある人は、転職先の担当者へ事前に相談してください。

転職先は決定済みでも入社まで空白期間がある場合

転職先が決まっていても、退職翌日から入社日前日まで資格の空白があるなら、健康保険と年金の手続きが必要です。「数日だけだから何もしない」という選択は避けましょう。

健康保険は空白期間をカバーする加入先を選ぶ

前職の健康保険資格は原則として退職日までです。翌日からは、国民健康保険、前職健康保険の任意継続、家族の健康保険の被扶養者のいずれかを検討します。

20歳以上60歳未満なら年金も切り替える

転職先の厚生年金へ加入するまで期間がある場合は、原則として国民年金第1号への切り替えが必要です。配偶者の扶養条件を満たし、国民年金第3号となる場合は、配偶者の勤務先を通じて手続きします。

基本手当は「内定済み」なら原則対象外

雇用保険の基本手当は、就職する意思と能力があり、積極的に求職しているにもかかわらず就職できない人のための給付です。雇用の予約や就職が内定・決定している人は、原則として基本手当の対象となる「失業状態」には該当しません。

1日だけ空く場合も資格は連続しない

たとえば金曜日に退職し、月曜日付で入社する場合、土曜日と日曜日は前職にも転職先にも在籍していません。保険料は月単位で計算される制度があり、結果としてその月の国民年金保険料が不要になるケースはありますが、保険料が発生するかどうかと、資格の切り替えが必要かどうかは別問題です。

日本年金機構も、月途中に再就職して月末時点で厚生年金へ加入している場合、その月の国民年金保険料が不要になる例を示す一方、空白期間について国民年金第1号の資格取得手続きは必要と案内しています。

退職後の健康保険を3つから選ぶ

退職後の健康保険には、主に「国民健康保険」「任意継続」「家族の被扶養者」の3つがあります。保険料だけでなく、扶養家族の人数、今後の収入、加入期限を含めて比較します。

選択肢 主な条件・期限 保険料の考え方 向いている可能性がある人
国民健康保険 原則14日以内に住所地の市区町村で届出 前年所得、世帯人数、自治体などで決まる 任意継続より保険料が低い人、減免対象となる人
健康保険の任意継続 退職前に継続2か月以上加入し、退職翌日から20日以内に申込み 事業主負担がなくなるため原則として退職時の本人負担のおおむね2倍。ただし上限等あり 扶養家族がいる人、国保より保険料が低い人
家族の健康保険の被扶養者 収入など加入先の扶養条件を満たし、家族の勤務先を通じて申請 通常、被扶養者本人の保険料負担はない 収入要件などを満たす人

国民健康保険

住所地の市区町村で、原則として資格喪失から14日以内に手続きします。一般に、健康保険資格喪失証明書、マイナンバーを確認できるもの、本人確認書類などが必要です。ただし、必要書類やオンライン・郵送対応は自治体によって異なります。

国民健康保険には会社の健康保険のような「被扶養者」という仕組みがなく、家族も加入者となります。世帯全体の保険料を確認してください。倒産・解雇・雇い止めなど一定の離職理由に該当する人は、保険料軽減の対象となる場合があります。

健康保険の任意継続

協会けんぽでは、退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あり、退職日の翌日から20日以内に申請することが条件です。加入できる期間は最長2年間ですが、就職して別の健康保険へ加入した場合や、本人が資格喪失を申し出た場合などは終了します。

会社負担分も本人が負担するため、保険料は原則として退職時の本人負担のおおむね2倍になります。ただし標準報酬月額の上限や保険料率があるため、必ず保険者へ見積額を確認してください。扶養要件を満たす家族については、追加の保険料負担がない点も比較材料です。

健康保険組合に加入していた人は、協会けんぽと申請先や保険料が異なることがあります。前職の保険者へ直接確認します。

家族の健康保険の被扶養者

配偶者など家族の健康保険へ入れる場合があります。収入基準、同居・送金などの生計維持関係、必要書類は加入先によって確認されます。失業給付も収入として扱われ、受給額によって扶養から外れる場合があるため、家族の勤務先または保険者へ確認してください。

安さは人によって逆転します:「退職後は国保が最安」「任意継続が必ず得」とは限りません。市区町村で国保の試算、前職の保険者で任意継続の保険料、家族の保険者で扶養条件を確認して比較しましょう。

退職後の国民年金への切り替え

20歳以上60歳未満の人が会社を退職し、すぐに別の会社の厚生年金へ加入しない場合は、原則として国民年金第1号被保険者への切り替えが必要です。手続き期限は退職日の翌日から14日以内で、住所地の市区町村や年金事務所が窓口です。マイナポータルから電子申請できる手続きもあります。

一般に、基礎年金番号またはマイナンバーが分かるもの、本人確認書類、退職日や厚生年金の資格喪失日を確認できる離職票・資格喪失証明書などを用意します。必要書類は窓口へ確認してください。

配偶者の扶養に入る場合

厚生年金へ加入している配偶者の被扶養者となり、国民年金第3号被保険者の要件も満たす場合は、配偶者の勤務先を通じて手続きします。健康保険の扶養と年金第3号の処理を一緒に確認しましょう。

自分が扶養していた配偶者にも手続きが必要

退職前に配偶者が国民年金第3号だった場合、自分の退職と同時に配偶者も第3号の資格を失うことがあります。自分だけでなく、配偶者の国民年金第1号への切り替えも確認してください。

保険料を払うことが難しい場合

支払いが難しくても、未納のまま放置してはいけません。所得要件などを満たせば、免除・納付猶予制度を利用できる場合があります。失業した人は、失業した本人の前年所得にかかわらず審査を受けられる特例があり、離職票や雇用保険受給資格者証などが確認書類になります。

転職先未定なら失業給付を確認する

転職先が決まっておらず、すぐに働ける状態で積極的に求職活動を行う人は、雇用保険の基本手当を受けられる可能性があります。退職しただけで自動的に支給されるものではなく、加入期間などの要件を満たし、住所地を管轄するハローワークで求職申込みと受給手続きを行う必要があります。

基本的な受給要件

原則として、離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上必要です。倒産・解雇や一定の雇い止めなどに該当する場合は、離職前1年間に通算6か月以上が基準となる場合があります。

さらに、次の状態を満たす必要があります。

  • 就職しようとする意思がある
  • いつでも就職できる能力・状態がある
  • 積極的に求職活動をしている
  • 雇用の予約や就職の内定・決定がない

しばらく休養する予定の人、病気やけがですぐ働けない人、妊娠・出産・育児ですぐ就職できない人は、その期間は「失業」の状態に該当しないことがあります。受給期間延長など別の手続きが利用できる場合があるため、ハローワークへ相談してください。

自己都合退職の待期と給付制限

受給資格決定後は、離職理由にかかわらず通算7日間の待期があります。2025年4月1日以降の正当な理由のない自己都合退職では、待期満了後に原則1か月の給付制限があります。ただし、過去5年間に2回以上、正当な理由のない自己都合退職で受給資格決定を受けている場合などは、3か月となることがあります。

基本手当を受けられる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。給付制限があるからと申請を先送りすると、所定給付日数を受け切れない可能性があります。離職票が届いたら早めに内容を確認しましょう。

離職理由が事実と違う場合

離職票に「自己都合」と記載されていても、実際には解雇、雇い止め、ハラスメント、著しい労働条件の相違など別の事情がある場合は、受給手続き時にハローワークへ伝えます。メール、労働条件通知書、タイムカードなど、事情を確認できる資料があれば持参してください。最終的な離職理由は、本人と会社双方の主張・資料を確認してハローワークが判断します。

退職後の住民税・所得税・確定申告

住民税は退職してもなくならない

住民税は前年の所得をもとに計算され、給与所得者は通常、6月から翌年5月まで給与から特別徴収されます。退職後は、残りを次のいずれかで納めます。

  • 転職先で特別徴収を継続する
  • 前職の最終給与・退職金から一括徴収する
  • 市区町村から届く納付書や口座振替で普通徴収する

6月1日から12月31日までに退職する場合は、普通徴収への切り替え、本人希望による一括徴収、転職先での継続などが考えられます。1月1日から4月30日までに退職し、残額を超える給与・退職手当が支払われる場合は、原則として残りの住民税が一括徴収されます。

最終給与から住民税がまとめて差し引かれると、手取りが大きく減ることがあります。反対に普通徴収へ変わると、退職後にまとまった納付書が届きます。退職前に会社へ徴収方法を確認し、支払い資金を確保しておきましょう。

同じ年に再就職した場合は源泉徴収票を提出する

同じ年に転職し、年末まで勤務している場合は、原則として転職先が前職分を含めて年末調整します。前職の給与額、源泉徴収税額、社会保険料などを確認するため、給与所得の源泉徴収票を転職先へ提出します。

源泉徴収票が提出できず前職分を確認できない場合、転職先では前職分を含む年末調整を行えません。その場合は自分で確定申告して精算します。

年内に再就職しない場合は確定申告を確認する

年の途中で退職し、そのまま年末を迎えると、通常は会社で年末調整を受けません。毎月の給与から所得税が多めに源泉徴収されていた場合、翌年に確定申告すると還付を受けられる可能性があります。還付申告は原則として翌年1月1日から5年間提出できます。

副業、不動産、株式、医療費控除など別の事情がある場合は、申告の要否や期限が変わります。自分の状況に合わせて国税庁の案内や税務署へ確認してください。

社会保険料の領収書を保管する

退職後に自分で支払った国民年金保険料、国民健康保険料、任意継続保険料は、年末調整や確定申告で社会保険料控除の対象となることがあります。納付記録、領収書、控除証明書は捨てずに保管します。

扶養家族がいる場合の注意点

退職で健康保険資格を失うのは本人だけではありません。前職の健康保険で扶養していた家族も、原則として同じタイミングで被扶養者資格を失います。

  • 本人が国民健康保険へ入るなら、家族も加入対象か確認する
  • 任意継続を選ぶなら、家族の被扶養者申請に必要な書類を確認する
  • 別の家族の健康保険へ移るなら、その勤務先を通じて扶養申請する
  • 配偶者が国民年金第3号だった場合は、年金の切り替えも確認する
  • 子どもの医療証など、自治体制度の保険情報変更も確認する

家族分の資格確認書が交付されている場合も、退職後は前職の資格で使えません。本人分だけ返却して、家族分を手元に残さないよう注意してください。

離職票・源泉徴収票などが届かない場合

健康保険資格喪失証明書が届かない

まず前職の人事・総務へ、発行状況と送付先を確認します。国民健康保険の14日以内という期限が迫っている場合は、住所地の市区町村へ期限内に相談してください。自治体によっては、退職証明書など別の書類で確認できる場合や、後日の追加提出を案内される場合があります。

離職票が届かない

離職票を希望したのに届かない場合は、前職へ手続き状況を確認したうえで、住所地を管轄するハローワークへ相談します。地域のハローワークでは、退職日から一定期間が経過しても離職票が届かない場合、書類がない状態で仮手続きを受け付ける案内をしていることがあります。

会社と連絡が取れない場合も、放置せずハローワークへ相談してください。基本手当の受給期間は原則1年間であり、受給手続きが遅れると不利になる可能性があります。

給与所得の源泉徴収票が届かない

中途退職者への交付期限は退職後1か月以内です。まず前職へ書面やメールで交付を依頼し、送付先に誤りがないか確認します。期限を過ぎても交付されない場合は、税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出できます。給与明細と、会社へ交付を求めた記録を保管しておきましょう。

退職日を証明する書類が必要

退職証明書を会社へ請求できます。労働基準法第22条により、会社は労働者から請求された事項について遅滞なく交付する必要があります。離職票を受け取っていても、別に退職証明書を請求できます。

退職後にやること状況別チェックリスト

全員が確認すること

  • □ 正式な退職日と最終出勤日を区別した
  • □ 会社へ退職後の住所・連絡先を伝えた
  • □ 資格確認書、社員証、会社の機器・鍵などを返却した
  • □ 最終給与、経費、退職金、住民税の扱いを確認した
  • □ 源泉徴収票の交付方法と予定日を確認した
  • □ 雇用保険被保険者番号と基礎年金番号を確認した
  • □ 扶養家族の健康保険・年金への影響を確認した

退職翌日に転職先へ入社する人

  • □ 転職先の社会保険資格取得日を確認した
  • □ マイナンバー、基礎年金番号、雇用保険番号を提出した
  • □ 扶養家族の書類を転職先へ提出した
  • □ 前職の源泉徴収票が届いたら転職先へ提出した
  • □ 住民税の特別徴収を継続できるか確認した

入社まで空白がある人

  • □ 国民健康保険・任意継続・家族の扶養を比較した
  • □ 国民健康保険を選ぶ場合は原則14日以内に届け出た
  • □ 任意継続を選ぶ場合は退職翌日から20日以内に申し込んだ
  • □ 国民年金第1号または第3号への切り替えを確認した
  • □ 入社後、国民健康保険の脱退など必要な手続きを行った

転職先が決まっていない人

  • □ 健康保険と年金を切り替えた
  • □ 離職票の記載内容を確認した
  • □ 働く意思・能力がある場合はハローワークで求職申込みをした
  • □ 国民健康保険の軽減、国民年金の免除・猶予を確認した
  • □ 住民税と保険料の支払い資金を確保した
  • □ 年末調整を受けない場合の確定申告を予定に入れた

退職後に起こりやすい失敗

1.有給消化開始日を退職日だと思う

有給消化中は在籍中です。資格喪失日や手続き期限を誤らないよう、退職日が記載された書面を確認します。

2.前職の健康保険資格で受診する

前職の資格確認書やマイナ保険証の画面に以前の情報が残って見えても、退職翌日以降は前職の資格を使えません。誤って使うと、後日、保険者負担分の医療費を返還することがあります。

3.書類が届くまで期限も止まると思う

国保や任意継続の期限は、書類の到着日基準ではありません。届かないと分かった時点で、会社と手続き先へ連絡します。

4.転職先決定済みなら失業給付を受けられると思う

入社まで時間が空いても、就職が内定・決定している人は、原則として基本手当の対象となる失業状態ではありません。健康保険・年金の切り替えとは別に考えます。

5.国民健康保険と任意継続の保険料を比較しない

保険料は前年所得、扶養人数、自治体、退職時の標準報酬月額などで変わります。一般論だけで決めず、両方の金額を確認します。

6.住民税の支払いを予算へ入れない

収入が途切れても、前年所得に対する住民税は残ります。最終給与での一括徴収や、退職後の納付書に備えておきましょう。

退職後の手続きでよくある質問

退職日と入社日の間が1日だけでも手続きは必要ですか?

原則として、資格の空白があれば健康保険と年金の切り替えを確認する必要があります。保険料が月単位で計算され、結果として国民年金保険料が発生しない場合でも、資格取得の手続き自体が不要になるとは限りません。

最終出勤後に有給消化する場合、いつ健康保険が切れますか?

最終出勤日ではなく、原則として正式な退職日の翌日に前職の健康保険資格を失います。有給消化中は在籍しているため、退職日まで前職の資格が続きます。

国民健康保険と任意継続はどちらが安いですか?

人によって異なります。国保は前年所得、世帯人数、自治体などで変わり、任意継続は退職時の標準報酬月額と保険料率などで決まります。扶養家族がいるかでも差が出るため、両方の窓口で具体的な金額を確認してください。

マイナ保険証があれば健康保険の手続きは不要ですか?

不要にはなりません。マイナンバーカードは資格情報を確認するための手段であり、退職後の加入先を自動的に選んでくれるものではありません。国保、任意継続、家族の扶養、転職先の健康保険のいずれかへ切り替えます。

転職先が決まっている場合、離職票は不要ですか?

すぐ入社し基本手当を申請しないなら、当面使わないことはあります。ただし、入社が取り消された場合や転職先を短期間で離職した場合に、前職の離職票が必要となる可能性があります。交付を希望する場合は前職へ伝え、大切に保管してください。

離職票が届くまで失業給付の手続きはできませんか?

通常は離職票-1・2を提出します。ただし、会社へ依頼しても届かず退職から一定期間が経過した場合、仮手続きを案内するハローワークがあります。前職へ確認したうえで、住所地を管轄するハローワークへ早めに相談してください。

しばらく旅行や休養をしてから転職活動しても失業給付を受けられますか?

基本手当は、すぐ働ける状態で積極的に求職している期間が対象です。単に休養している期間は失業状態に該当しません。受給期間は原則として離職翌日から1年間のため、長期休養を予定する場合は延長対象になる事情があるかハローワークへ確認してください。

失業給付を受けながら家族の健康保険の扶養に入れますか?

失業給付も扶養判定上の収入として扱われ、基本手当日額などによって扶養に入れない場合があります。受給前・給付制限中・受給中で扱いが変わる可能性もあるため、家族の勤務先または加入する健康保険へ確認してください。

退職後に保険料や年金を払えない場合はどうすればよいですか?

国民年金には免除・納付猶予や失業による特例があり、国民健康保険にも離職理由や所得状況による軽減・減免制度があります。未納のまま放置せず、市区町村、年金事務所、ハローワークへ相談してください。

退職後に引っ越す場合、どの住所で手続きしますか?

国民健康保険や国民年金は住所地で手続きします。引っ越し時期によって窓口や追加手続きが変わるため、転出・転入日を伝えて旧住所と新住所の自治体へ確認してください。前職にも新しい書類送付先を伝えます。

まとめ|退職日と入社日の間を確認し、期限の短い手続きから進めよう

退職後に最初に確認するのは、正式な退職日と次の会社の入社日です。退職翌日に社会保険へ加入するなら転職先へ必要書類を提出し、1日でも空白があるなら健康保険と年金の切り替えを確認します。

転職先が未定の人は、健康保険・年金に加えて、離職票の確認とハローワークでの求職申込みを進めます。自己都合退職の給付制限が原則1か月になっていても、申請前の期間が自動的に基本手当として支給されるわけではありません。

期限の目安は、国民健康保険と国民年金が原則14日以内、任意継続が退職翌日から20日以内です。書類が届かない場合も期限が自動延長されるとは限らないため、前職と手続き先へ早めに相談しましょう。最後に、源泉徴収票、住民税、確定申告まで確認すれば、退職から再就職までの手続きを漏れなく進められます。

参考資料